中東地域における日本関係船舶の安全確保に関する政府の取組について

令和元年12月27日
閣議決定

 中東地域の平和と安定は、我が国を含む国際社会の平和と繁栄にとって極めて重要である。また、世界における主要なエネルギーの供給源である中東地域において、日本関係船舶(日本籍船及び日本人が乗船する外国籍船のほか、我が国の船舶運航事業者が運航する外国籍船又は我が国の積荷を輸送している外国籍船であって我が国国民の安定的な経済活動にとって重要な船舶をいう。以下同じ。)の航行の安全を確保することは非常に重要である。
 中東地域において緊張が高まる中、船舶を対象とした攻撃事案が生起し、令和元年6月には日本関係船舶の被害も発生している。このような状況に鑑み、各国は、同地域において艦船、航空機などを活用した航行の安全確保の取組を強化している。米国は、海洋安全保障イニシアティブの下、英国や豪州等と共に、艦船等による活動を行っており、フランスも、欧州諸国のイニシアティブに取り組んでおり、アラブ首長国連邦に司令部を設置することを表明している。このほか、インドも艦船による活動を独自に行っている。このように、国際社会において、多様な手段で船舶の航行の安全のための情報を収集し、あるいは安全確保に万全を期すという取組が行われている状況にある。
 以上の点に鑑み、中東地域における平和と安定及び日本関係船舶の安全の確保のため、我が国独自の取組として、中東の緊張緩和と情勢の安定化に向けた更なる外交努力、関係業界との綿密な情報共有をはじめとする航行安全対策の徹底並びに情報収集態勢強化のための自衛隊の艦艇及び航空機の活用について、政府一体となった総合的な施策を関係省庁が連携して実施することとし、その重要性に鑑み、閣議決定を行い、下記により対応する。

1.更なる外交努力

 我が国は、米国と同盟関係にあり、同時にイランと長年良好な関係を維持するなど、中東の安定に関係する各国と良好な関係を築いている。これを活かし、中東の緊張緩和と情勢の安定化に向け、関係国に対する様々なレベルでの働きかけを含む更なる外交努力を行う。また、船舶の安全な航行に大きな役割を有する沿岸諸国に対し、航行安全確保のための働きかけを引き続き実施する。中東地域における自衛隊の活動については、これまでも地域の関係国の理解を得るよう努めてきているが、下記3.における自衛隊の情報収集活動について、地域の関係国の理解を得られるよう努力を継続する。

2.航行安全対策の徹底

 関係業界との綿密な情報共有をはじめとする航行安全対策を徹底する。具体的には、下記3.の自衛隊による情報収集活動で得られた情報及び関係省庁が得た情報の共有を含めた政府内及び政府と関係業界との間の連携体制を構築する。また、船舶の航行安全に影響を及ぼし得る情報に基づき、関係業界に対する迅速な情報提供及び適時の警戒要請を行うとともに、関係業界による航行上の措置の実施などの自主的な安全対策の徹底を促す。

3.自衛隊による情報収集活動

 中東地域においては、日本関係船舶の防護の実施を直ちに要する状況にはないものの、中東地域で緊張が高まっている状況を踏まえると、日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集態勢を強化することが必要である。そのため、我が国から中東地域までの距離、この地域における活動実績及び情報収集に際して行う各国部隊?機関との連携の重要性を勘案し、自衛隊による情報収集活動を行うこととする。
 この自衛隊による情報収集活動は、政府の航行安全対策の一環として日本関係船舶の安全確保に必要な情報を収集するものであり、これは、不測の事態の発生など状況が変化する場合への対応として以下(4)に定める自衛隊法(昭和29年法律第165号)第82条に規定する海上における警備行動(以下「海上警備行動」という。)に関し、その要否に係る判断や発令時の円滑な実施に必要であることから、防衛省設置法(昭和29年法律第164号)第4条第1項第18号の規定に基づき実施する。
 基本的な実施方針は以下のとおりであり、その詳細は、防衛大臣の命令に定めることとする。

  1. (1)収集する情報
     下記(3)に示す海域において、船舶の航行の安全に直接影響を及ぼす情報その他の航行の安全確保に必要な情報の収集を行う。
  2. (2)装備
     所要の調整を経て、護衛艦を新規に1隻派遣するとともに、海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律(平成21年法律第55号。以下「海賊対処法」という。)第7条第1項の規定による海賊対処行動に現に従事する自衛隊の部隊(以下「海賊対処部隊」という。)の固定翼哨戒機P-3Cを活用する。なお、海賊対処部隊による情報収集活動については、海賊対処行動に支障を及ぼさない範囲で実施する。
  3. (3)活動の地理的範囲
     (2)の護衛艦及び固定翼哨戒機による情報収集活動の地理的範囲は、オマーン湾、アラビア海北部及びバブ?エル?マンデブ海峡東側のアデン湾の三海域の公海(沿岸国の排他的経済水域を含む。)とする。護衛艦が補給等を行う場合には、当該三海域に面する港に寄港するものとする。
  4. (4)不測の事態の発生など状況が変化する場合への対応
     不測の事態が発生するなど状況が変化する場合には、関係省庁は連携して状況の把握に努め、相互に緊密かつ迅速に情報共有するとともに、政府全体としての対応を強化する。その上で、当該状況への対応として、自衛隊による更なる措置が必要と認められる場合には、自衛隊法第82条の規定に基づき、海上警備行動を発令して対応する。当該発令に際しては、迅速な意思決定に努めることとする。
     海上警備行動に際してとり得る措置は、旗国主義の原則をはじめとする国際法を踏まえ、保護対象船舶が日本籍船か外国籍船かの別、侵害の態様といった個別具体的な状況に応じて対応することとなる。
  5. (5)自衛隊の部隊の安全確保
     情報収集活動の実施に当たっては、活動海域の情勢に係る十分な情報収集、安全確保に必要な機材の搭載、事前の適切な教育訓練等を通じ、自衛隊の部隊の安全の確保に万全を期す。
  6. (6)関係省庁間の協力
     情報収集活動及び不測の事態の発生など状況が変化する場合への対応の実効性確保のため、関係省庁は連携を密にし、当該対応についての認識を共有するとともに、訓練等を通じて対処能力向上等を図り、状況に迅速に対応することができる態勢を整備する。
  7. (7)諸外国等との連携
     我が国は中東地域の航行の安全に係る特定の枠組みには参加せず、自衛隊の情報収集活動は我が国独自の取組として行うものであるが、諸外国等と必要な意思疎通や連携を行う。
  8. (8)自衛隊の活動期間
     本閣議決定に基づく自衛隊による活動を行うべき期間(訓練等の準備期間を含む。)は、令和元年12月27日から令和2年12月26日までとする。なお、本閣議決定に基づく自衛隊による活動を延長する必要があると認められる場合には、再度閣議決定を行う。右期間の満了前に、本項に記す必要性に照らし、自衛隊による活動が必要と認められなくなった場合には、その時点において当該活動を終了するほか、情勢に顕著な変化があった場合は、国家安全保障会議において対応を検討する。

4.国会報告

 海賊対処法に基づく自衛隊の行動に係る事項については、海賊対処法第7条第3項の規定により国会に報告されていることにも鑑み、本閣議決定(これを変更する場合を含む。)及び当該活動が終了したときはその結果を国会に報告する。

以上


防衛大臣指示

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